『論点』とはなにか?

中途採用支援(RPO)を行っている株式会社NewRecord張ヶ谷です。誰かに3回説明したのでブログにまとめてみたいと思います。

論点はどこか?1度は言われたことがあるかもしれません。これまで理解をしてもらうのに苦労をしてきました。このブログで「論点とはなにか?」の理解の一助になれたらと思います。

論点とは

議論の中心となる問題点。 議論の要点。

と検索すると出てきます。ですがあまりイメージできないと思うので下記にケーススタディを記載してみました。簡単にいうと「決めるために必要な項目はなにか」です。

ケーススタディ

【個人の場合】

■行いたいこと
旅行に行きたい

■論点候補
1、予算
2、誰と
3、いつ
4、どこに

友人とカフェでお茶をしながら「旅行の計画を立てている」とします。その際の論点候補は上記と想定します。カフェで話している際に「1、予算:1人あたり5万円まで」「2、誰と:友人と2人で」「3、いつ:12月17日〜12月19日の2泊3日」は決まったとします。そうすると論点候補の1、2、3は決定したので論点ではなくなりました。
残りの「4、どこに」は時間内に決められませんでした。「それが決まれば旅行に行ける」ので「4、どこに」が論点になります。

 

【会社の場合】
■行いたいこと
求人媒体のGreenを利用したい

■論点候補
1、予算内なのか?
2、他のサービスは利用しないのか?
3、投資対効果はあるのか?
4、いつ効果検証をするのか?
5、交渉の余地(割引、特典)はあるか?
6、媒体を運用する工数は捻出できるのか?

求人媒体を新たに利用をしたいというケースです。上記の論点候補に対して「6、媒体を運用する工数は捻出できるのか?」が論点として残るケースを下記に記載してみました。


1、予算内なのか?
・提案者のコメント
予算内です。年間採用予算のうち媒体利用費100万円のうち90万円を充てる予定です。
・決裁者の感想
予算内なら論点じゃないな。

2、他のサービスは利用しないのか?
・提案者のコメント
しません。ビズリーチWantedly・Greenの担当者にデータベースを見せてもらいました。今回の採用要件では一番要件を満たしている候補者が多かったのがGreenだったため。また同時並行で利用する場合年間採用予算のうち媒体利用費をオーバーするため。
・決裁者の感想
すでにデータベースを確認してくれているのか。今期は予算を増やせないのでGreenだけの利用にするか。

3、投資対効果はあるのか?
・提案者のコメント
年間で3名採用できれば投資対効果があると言えます。これまでの1人あたりの採用単価は140万円でした。Green経由で3名採用することで1人あたりの採用単価は80万円になる想定です(数値は理解度優先のため概算です)
・決裁者の感想
1人あたりの採用単価を下がる想定なのか。

4、いつ効果検証をするのか?
・提案者のコメント
3ヶ月後の2024年2月19日(月)17:00-18:00のMTGで効果検証の結果共有をします。スケジュール招待済みです。
・決裁者の感想
スケジュールまで抑えているのであればその報告まで待つとしよう。

5、交渉の余地(割引、特典)はあるか?
・提案者のコメント
ありません。すでに3度割引や特典について交渉しました。
・決裁者の感想
すでに3度も交渉してたのか。もう追加交渉は難しそうだな。

6、媒体を運用する工数は捻出できるのか?
・提案者のコメント

相談したい。採用以外にも労務や評価、総務などの業務があり工数が捻出できない可能性があります。媒体運用業務を外部に委託するか、社内メンバーで異動できる人がいれば業務分担を行いたいです。
・決裁者の感想
固定残業時間も毎月ギリギリだから社内異動か外部委託を検討するか。これが決まれば提案を通すことができるな。社内異動可能か他の部署のマネージャーに相談してみるか。

 

以上が提案者のコメントと決裁者の感想も含めた記載内容です。個人の場合と比較すると圧倒的に検討する内容が多いですよね。また自分だけで決められない場合も多いです。なんなら「採用予算が決まっていない場合(議論ができない、決裁者の一存パターン)」とかもあります。

論点を正確に見極めることができれば提案の質も上がり決裁者からの信頼貯金も増えるはずです。

補足しておきたいこと

決裁者の属性を把握する必要があります
元も子もない話を書きますが「Aさんが提案するなら全部承認するよ!信頼しているから!」という決裁者も中にはいます。論点なんて1つも気にしていないケースもなくはないです。提案をする際に「決裁をする人はどんな人間か?」を考えて提案をすることが大事です。飲み会や休憩中の雑談の中で決裁取っちゃうとか。根回しが大事ですね。

決裁をしたことがない人が論点を導き出すのは困難
会社で決裁者に提案をするのと違い、旅行に行きたいというケーススタディでの個人の場合においては自分自身が決裁者になることができるので論点(決めるために必要な項目)を考えるのは簡単です。しかし決裁者側になったことがないのに論点を導き出すのは非常に難しいです。そんな時は一度誰かに提案をしてもらって「決裁者側をやってみる」というのはいいトレーニングになりそうです。

メリット・デメリットを記載。だからなに?となります。
提案をあげる際にメリット・デメリットを書き並べる方がいます。どんなものにもメリット・デメリットは存在するので書き並べた情報に特に意味はないです。ここで知りたいのは「だからなにをするのか」「その情報をもとにどうしたいのか」が大事です。

どうしたらいいですか?と言われても困る
提案をする際にケーススタディのような論点候補があることを知れたと思います。提案者が「どうしたらいいですか?」と決裁者に聞いても決裁者は「それを私に聞かれても提案をしたのはあなたでは?」と思ってしまいます。これは「論点候補を導き出す、検討する」という業務を決裁者に移転しているだけです。「論点を整理できない人」という認識になってしまうので提案者は気をつけたいところです。
「どうしたらいいか聞いて」と決裁者から言われている場合は別です。

以上です。

論点候補を出す、論点はどこかを考えるというのはとにかく回数をこなすしかありません。また自分が決裁者になると「こういうところが決裁する時に気になるのか」と実感できるので急にできるようになったりします。
まずは提案を考える際に「論点はどこか?」「自分が決めるとしたら後何が足りないのか?」と自分に問いかけられるようになるとよいかと思います。口頭で1から10まで説明して質問をされてを繰り返すのではなく、文章で提案して決裁者からの「それで!」を引き出しましょう!

提案をする際の「解決したい課題の特定」という重要な項目もあります。ですがごっちゃになると意味わからなくなるので今回は割愛しています。